0.2 なぜMSP430とEnergiaなのか

では、なぜMSP430とEnergiaを使うのかについて話をしたいと思います

まず、私が初めてMSP430に触れたのはMSP430LaunchPadを手にしてからでした。

MSP430 LaunchPadとはTexas Instruments社製(以下、TI)の
MSP430マイコンのバリューラインシリーズを扱うことのできる
フラッシュプログラマ&デバッガツールです。

プログラマとかデバッガなどと言うと「何をするものなんだろう?」
と思ってしまいますが、
MSP430マイコンへのプログラミングをするを行うために必要なツールがまとまったもの
ということです。

MSP430 LaunchPadがあれば、
MSP430バリューラインと呼ばれるMSP430G2xxシリーズのマイコンについて
プログラムをすることができるわけです。
で、このMSP430の公式の開発環境としてCode Composer Studioという
統合開発環境が準備されています。
MSP430マイコンの機能をフルに活用するならCode Composer Studioがおすすめです。

ただ、Code Composer Studioを使うのであれば
初心者にとっての敷居の高さはPICを使うのと同じことです。

なので、最初は
「MSP430はPICより後に開発されただけあって機能が充実したマイコンだなぁ」
という程度の認識しかありませんでした。
そして、初心者向けにはArduino が一番扱いやすいと感じていました。

私は、マイコン初心者にとって一番大事なことは
「手軽にマイコンを扱いたい」
「すぐに目的のアプリケーションを開発したい」
といった点につきると思います。
だから、手軽な開発環境としてArduino が人気を集めていると分析していますし
実際Arduino は使いやすいマイコンボードです。

では、なぜ私がMSP430を初心者向けに見直すことになったかというと
Energiaという開発環境と出会ったからです。
このEnergiaはArduino言語と非常に高い互換性を持った開発環境であり
ユーザーインターフェースもArduinoとほとんど同じです。

つまり、MSP430LaunchPadがArduinoのように使うことができるようになったと言うことです。
このことは、初心者にとってマイコンのプログラムを学習する敷居を大幅に下げることにつながります。

2点目はコストです。
Arduinoのマイコンボードは約3000円程度であるのに対しMSP430LaunhPadは約1500円程度と
購入時を比較してコストの面でArduino より敷居が低くなっています。

さらに3点目は
Arduinoで使用するAVRマイコンにはArduinoブートローダという、
Arduinoとして動作させるためのプログラムをマイコンにあらかじめ書き込まなければなりません。
一方のEnergiaを用いた場合は、MSP430にブートローダを書き込む必要は無くLaunchPadに差し込めばすぐにプログラミングが可能です。

これらの3点を考慮した結果、初心者のマイコン入門にはMSP430をおすすめします。

特に大事なのは3点目です。
マイコンを学ぶきっかけは、「いろいろなものを作りたいから」ではないでしょうか?

たとえば、「クリスマスツリーのイルミネーション」のプログラムを作ったとします。
プログラムをLaunchPadで開発し、電子回路はユニバーサル基板などで半田付けして作ったとしましょう
当然、LaunchPadにのせていたマイコンを外して、半田付けして作った基板にマイコンを載せ替えてイルミネーションの完成です。

次に「鉄道模型の自動走行」のプログラムを開発しようとします。新しいMSP430を買ってきてLaunchPadに載せて、プログラムを開発して…

となるでしょう。
Arduinoだと、この2つめのアプリケーションを開発するときには、新品のマイコンにブートローダのプログラムを書き込まなくてはいけないのです。
ブートローダの書き込みには、Arduino にブートローダを書き込むための回路をつないで…
とそれなりの手順が必要になります(検索してみれば色々手順が出てきます)

この煩雑さがない分、すぐ次の開発に移ることができる
やりたいことを次々に実現できるのがMSP430の良さです

スキルは、経験する回数で上がっていきます
ですので、マイコンのプログラミングの数をこなして
速く上達するためにもMSP430はうってつけと考えます。

あと、問題は入手性だけです。
まだまだ、PICやAVRなどと比べマイナーなため
販売数が少ないというところが残念ですが
この問題はユーザーが増えれば、きっと解消していくと思います。

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